人口減少社会での地方都市が魅力発信のために考えるべき視点
人口減少問題における本質的な視点
東京の一極集中を問題視して地方への権限委譲がうたわれています。
東京に若者が出て行ってしまうから、地方都市の人口減少に歯止めが利かないという論調もあります。
しかし、そもそも東京と地方都市と争うべきなのかという疑問があります。
一極集中している国、いわゆる政治と経済が一体化して首都のみ大きく発展している国はあります。
一方、政治と経済が分離し、各都市がそれぞれ発展している国もあります。
日本は政治も経済も東京に集中し、他都市とは大きく役割が違います。
同じように発展すべき都市は無く、他都市と住み分けていると感じます。
今回、いくつかの都市を訪問する機会がありました。
それぞれの都市は移住者や投資、来訪者を増やそうと努力しています。
そして、それぞれの都市に魅力があります。
食事は美味しく、自然が豊富で、歴史的な史跡も多く、観光資源を増やす努力をしています。
それぞれの都市を愛する人たちが、街の将来を憂い行動を起こそうとしています。
どの都市でもそれらの人たちから、東京には敵わないという暗黙の了解を感じることが少なくありません。
人口減少は国全体の問題で、東京の一極集中によって地方都市の人口が減少しているわけではありません。
問題なのは、現場にいる地方都市の魅力を発信すべき人たちが正しく現状を分析できているかということです。
魅力発信のために必要な視点とは
東京は決して競争相手ではなく、違うステージの都市なのです。
東京に住みたい人たちは、都会の便利さやにぎやかさを求めています。
地方都市を求める人は、東京のような通勤ラッシュも無く、職住接近で子育てをしやすい、自然があふれる都市に住みたい人たちです。
この違いをきちんと把握して、街おこしも取り組まないといけないですね。
移住という視点で考えると、日本国内の減少していく日本人の奪い合いになっていきますが、訪問を増やすという視点で考えると、各都市の外国人への魅力の訴求力は決して低くないと思います。
日本人も旅行をする際に、最初は有名な観光スポットにいきますが、リピーターになってくると自分のアンテナで、現地の人も気がつかない魅力を探し出し訪問するようになります。
たとえば、フランダースの犬の舞台になったベルギーのアントワープ。
現地の人は誰も知らない物語でしたが、日本人が多く訪れるため観光地として整備されることになりました。
これは、日本では有名な物語だったということになりますが、今はインターネットの時代。
海外に上手に現地の魅力を発信できれば、ありきたりな旅行に飽きた日本人大好きな外国人のアンテナに引っかかる可能性は十分あるでしょう。
官民一体となって、外国人に向けてプロモーションをしていくのも面白い取り組みになると思いますね。