【世界で通用する最強の子育て】 第2章 考える力 ダイジェスト
2019年3月に『世界で通用する最強の子育て』という書籍を出版致しました。
その一部をご紹介いたします。
変化の多い世界では、自分の意志を明確にもつことが重要になります。
そのためには子どもが自信をもてるような声かけと、興味関心を邪魔しない関わり方をすることが何よりも重要だと考えます。
詳しくは「第1章 意志をもつ力のダイジェスト」でもお話ししているのでご覧ください。
ではその心に決めた意志を貫くためにはどうしたらいいのでしょうか。
私は、「実現可能な方法を考える力」が必要だと私は考えています。
自分の意志を実現するために必要な「考える力」とは
日本ではどちらかというと「自分で考えて動く」よりも「言われたことをやる」ということが習慣になっている人が多いように感じます。
例えば「校則」は分かりやすい一つの例でしょう。
頭髪の色や、持ち物、言葉遣いまで細かくルールが決まっています。
しかし海外を見てみると日本の学校ほど厳しいルールがあるところはほとんどありません。
なぜでしょうか。
それは海外では「規則で縛らなくても、子どもたちは一人の人間として自分で考えて正しく行動することができる」という根本的な信頼があるからだと、私は考えています。
ルールを守ることよりも自分で考えて行動することが重要視されるようになっていく
従順に言われたことだけを実行する人は、海外ではあまり評価の対象にはなりません。
それよりも自分の頭で「こうしたほうがよい」と意見を言えることの方が、グローバルに活躍でするための必要不可欠なスキルになってきているからです。
ただ指示を聞いているだけの人は、刻一刻と状況が変化しているグローバル社会においては徐々に必要とされなくなっていくでしょう。
目的と手段を自分で考える
考える力のなかで私がもっとも重要視しているのが「目的を考える力」です。
「なぜこの行動をするのか」を自分で考える力ということです。
目的を考える力は、子どもはもちろん、大人になってからも非常に重要な能力になります。
例えば、「議事録をパワーポイントでまとめ、印刷して配布して」という指示があったします。
しかしその目的が、「決定事項を周知する」であったらどうでしょう。
「決定事項を参加メンバーにメール送信する」という手段でも問題ないことはお分かりになると思います。
目的と照らし合せ、指示された手段が最適なものでない場合は、手段自体を変えていくこともできるわけです。
目的を考えることで漫然と日々を過ごさなくなる
目的を自分で考えることのメリットは「目的を意識することで一つ一つの行動の意味を最大化できる」ということです。
サッカーの本田圭佑選手が運営するサッカースクールでは、練習の意味を最大化させるために、自分で目的を考えることを習慣にする取り組みを行っていると聞いたことがあります。
子どもたちは練習前に目的を軸にしてその日に頑張る目標を書きます。
練習が終わった後には、自分が決めた目標に対して、しっかりと行動できていたかどうかを振り返る習慣がつくられているのです。
「漫然とパスの練習をする」のと、「前回の試合では左足のパスコントロールが悪かった。だから今日は左足のパスに力を入れて練習しよう」と決めて練習するのでは、得られる成果は全く違うことは明らかでしょう。
大人が勝手に子どもの目的を考えている日本
そもそも、日本ではスポーツの場面で「全国優勝するぞ!」などと指導者が勝手に目的を決めてしまうことが多いように感じます。
学校の進路相談に関しても「このくらいの学力ならこの学校がいい」と教員が一方的に伝え、本人が「どういう人生を送りたいか」という人生の目的を考える余地が残されていないことも多いとききました。
一方海外では、子どもが自分に合った目的と手段を考える余地が残されているように感じます。
例えばサッカーチームをひとつとっても、勝つことを目的に熱心に練習するチームもあれば、楽しくサッカーをするチームもあり、目指す水準によってチームが分かれているのです。
ひとつのチームの中でレギュラー争いをするような日本とは少し違う仕組みであることが分かるかと思います。
また、進路選択の場面でも、子どもが「将来どういうことをしたいのか」を基準に考えていきます。
仮に学力が希望する進路に達していなかったとすれば、留年して自分の行きたい進路の為に努力する子は少なくありません。
子どもに選択権をゆだねるということがいかに重要か、身に染みて感じるようになりました。
大切なのは、「子どもの考えた目的を否定しない」こと。
自分で目的や手段を考える力が身についていけば、やってみて無理だと思ったり、適切ではないと思ったりしたときには、子ども自身で正しく修正していくこともできるはずです。
原因と解決策を自分で考える
子ども自身が目的やその手段を決めても、うまくいかないことは多々あると思います。
そんなときは「なぜうまくいかなかったのか」という原因を考え、自分で改善していくことが求められます。
オランダでは、正解を教え込むよりはその子の中にある考えを引き出していく関わり方を大切にしています。
「ティーチング(教え込む)」ではなく「コーチング(引き出す)」といい、非常に大切にされている考え方です。
例えばオランダではこんな場面があります。
親:テストはどうだった?
子:掛け算はできたが、割り算はあまり解けなかったんだよね。
親:そうだったの。それは前に解いたことがある問題なの?
子:授業で習った時はできたよ
親:なるほどね。なぜ授業の時はできて、テストのときにはできなかったんだと思う?
子:やり方を忘れちゃったからだと思う。次からはテスト前にプリントを見直そうと思うんだ。
親:それはいいかもしれないね。
会話の中で「「こうしなさい」「こうだったからだめだ」という親からの声掛けがないことに気が付くでしょうか。
子どもの中にある考えを引き出していく「コーチング」という考え方を大切にしていることが分かっていただけると思います。
自分で考えさせるというと、「大人は自分の意見を言ってはいけないのではないか」と考えてしまう方もいらっしゃるかもしれません。
しかしオランダでは親は「私はこう思う」とはっきり子どもに伝えています。
日本と違うところは「子どもが疑問をもった時に、その疑問を素直に口に出すことができる環境かどうか」です。
まずは、子どもが行ったことを否定せず、大人と子どもが対応に話ができる関係性を築いていってほしいと思います。
親が知らないことは子どもと一緒に調べよう
子どもから質問を受けて、親が分からないときはチャンスです。
一緒に調べることで、子どもの解決する力を育てる良い機会だと捉えましょう。
そうしていくうちに子どもが自分だけで調べる力を身につけていきます。
その際、気を付けてほしいことがあります。
例え、親が既に知っていることでも聞いてあげるようにしてほしいということです。
親子の会話で一番してはいけないことは、否定をすることです。
せっかく頑張って調べたのに、それを否定されてしまっては、子どもは次から「調べてみたい」と思うことはなくなってしまうかもしれません。
「えらいね。どうやって調べたの?」など会話をして子どもの努力をほめながら、こちらの意見をはさんでいってほしいと思います。
根拠のある自信をはぐくむ
この記事では
「目的と手段を自分で考える」
「原因と改善策を自分で考える」という、2つの考える力についてみてきました。
私は、考える力があれば、子どもたちはどんな環境であっても、自分自身で道を切り開いていくことができると信じています。
だからこそ、オランダの「コーチング」という考え方に出会えたことは本当に幸運だったと思っています。